2024年08月20日

「正しい言葉なのに伝わらない」のはなぜか?
〜ゴウリカマーケティング 第1回マーケティングフォーラム開催レポート〜

「正しい言葉なのに伝わらない」のはなぜか?<br> 〜ゴウリカマーケティング 第1回マーケティングフォーラム開催レポート〜

編集家・松永光弘氏による「ささる言葉のルール」セミナー&企業交流会

「人に寄りそう合理化」で企業変革をサポートするゴウリカマーケティング株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:岡本賢祐)は、2024年7月12日(金)に渋谷のTRUNK(HOTEL)にて「第1回マーケティングフォーラム」を開催いたしました。

販促や告知といった企業から発信する言葉に求められるのが受け手に「ささる」こと。2024年7月12日に開催した「第1回 マーケティングフォーラム」では、受け手に届くだけでなく、納得や共感をしてもらえる「ささる言葉」をテーマにしたセミナーとワークショップを行いました。

講師:編集家 松永 光弘(まつなが みつひろ)氏
ブランディングや広報、教育、地域創生など、さまざまなシーンで「人、モノ、コトの編集」に取り組む編集家。クリエイティブ書籍編集の第一人者であり、顧問編集者のパイオニア。『伝え方──伝えたいことを、伝えてはいけない。』などの著書がある。

司会進行:石井 しおり(いしい しおり)氏
フリーアナウンサー。元九州朝日放送、北海道文化放送のアナウンサーを経て、2018年からフリーに。現在は、日本テレビ「ZIP」やBS-TBS「トレンド・クリップ」のナレーションを担当するほか、イベントのMCやリポーターとして活躍。

「ゴウリカマーケティングフォーラムについて」
「ゴウリカ マーケティング フォーラム」は、企業の「合理化」に向けた業務やミッションに関連するトピックを取り上げ、著名な講師を招いたセミナーやワークショップ、懇親会を含むクライアント様向けのイベントです。第1回は、東京・渋谷のTRUNK(HOTEL)CAT STREETにて開催。編集家の松永光弘氏を講師に迎え、「ささる言葉」をテーマに販促や告知などに役立つ、受け手に「ささる」言葉について講義していただきました。
【マーケティングフォーラム開催概要はこちら】https://gourica.co.jp/news/20240705/

▶セミナー「ささる言葉のルール」

前半のセミナーでは「ささる言葉のルール」と題して、講師の松永氏が4つのポイントを解説しました。

1.ビジネス界にはびこる「正しい」のワナ

2.ささる言葉は「正しい×おもしろい」

3.企業コミュニケーションにおける「おもしろい」とは

4. 伝えたいことを伝えてはいけない

1.ビジネス界にはびこる「正しい」のワナ
ビジネスは客観的合理性が重視されるため、正しく論理的な表現が求められます。そのため企業で働いていると、どうしても「正しさ」だけに目を向けがちです。しかし、一般のコミュニケーションでは、正しく話すことばかりに捉われてしまうと相手には伝わらないといいます。

なぜなら、言葉を受け取る側は、合理性だけでなく、感覚的に物事を判断するからです。正しく論理的に説明したとしても、それだけでは相手には伝わらない、ささらないのです。

2.ささる言葉は「正しい×おもしろい」
ささる言葉をつくるためには、「正しさ」と「おもしろさ」が必要だと松永氏は語ります。この組み合わせで最も相手にささるのは、「正しくて、おもしろい」。2番目にささるのは、「正しくなくて、おもしろい」。

人は、「正しいけれど、おもしろくない」話よりも、「正しくないけれど、おもしろい話」に耳を傾けやすいもの。ビジネスの客観的合理性のままに説明しても、おもしろさがなければ、正しくない話に負けてしまうのです。だからといって正しくなければいけません。正しさとおもしろさの両方を担保することが大事だと説明します。

3.企業コミュニケーションにおける「おもしろい」とは
「おもしろさ」にもいろいろありますが、企業のコミュニケーションには、「笑い」のおもしろさではなく、「興味深い」おもしろさが求められます。松永氏は、言葉を投げかけられたときの受け手の感じ方として、「当然でしょ(既知)」「そうかも(伏知)」「なにそれ?(未知)」の3通りがあるといいます。

仮にビールについて提案する場合、「ビールを飲むと酔います」と当たり前(既知)の話をすると聞き流されてしまうでしょう。

あるいは、「ビールの成分のひとつであるトレオニンを発見したのは、ウィリアム・カミング・ローズという人です」と話すと、ほとんどの人は「なにそれ?」と困惑し、素通りされてしまいます。人は未知の話には、興味を持ちにくいからです。

ではどのように話をすればいいのか。例えば、「ビールを飲むと脳の血流が良くなって、発想がわきやすくなるんです」と話すと、「そうかも」といくらか興味をもってもらえるかもしれません。

松永氏は「既知」と「未知」の間にある、まったく知らないわけではないけれど、知っていたとも言えない意識下にある「そうかも」いえるものを「伏知」と呼んでいます。

人は身近なものに興味を持ってくれやすいものです。伏知は日常生活の違和感や小さな不満から見つかります。小さな不満の先にある理想、それが伏知なのだと松永氏は詳説します。

会場の参加者からは、伏知はマーケティングの言葉でいう「インサイト」と似ており、非常に共感できるとの声が上がりました。

4. 伝えたいことを伝えてはいけない
もうひとつのワナは、「自分の発した言葉は相手に直接届く」という誤解です。テレパシーでない限り、自分の伝えたいことを相手に直接伝えることはできません。

実際には、伝え手と受け手の間で、音声や文章など何らかの表現物を介してコミュニケーションをしていると松永氏は語ります。伝え手は表現することしかできず、それを受け取ってくれるかどうかは相手次第。では、どうすれば相手は表現物を受け入れてくれるのでしょうか。

松永氏は、文豪ジョン・スタインベックの「自分に関する物語でなければ、人は耳を傾けたりしない」という言葉を引用し、人が興味を持つのは自分に関係がある話なのだと話します。つまり、表現物は「伝えたいこと」ではなく、相手にとって「伝えられたいこと」でなければいけないわけです。

自分にとっては興味深い話でも、相手によっては心にささりません。何か伝えたいときは、受け手が「伝えられたいこと」になっているかを考え、それに加えて、伏知を込めた「正しさ×おもしろさ」を意識することが大切だとして、セミナーを締め括りました。

▶ワークショップ「ささる言葉を考えてみよう」

後半は、「ささる言葉」を意識したメッセージを作成する、来場者参加型のワークショップを実施しました。

お題は「今日のセミナーの内容を誰かに伝えるとしたら?」

参加者は、ささる言葉を意識した1フレーズを考えて投稿し、スクリーンに映し出された作品を松永氏が講評していきました。松永氏が特に優れた「ささる言葉」として選んだ3作品を紹介します。

「親が伝えたいことが子どもにスルーされる理由、を紐解く話をきいてきましたよ。」
松永氏コメント:親世代であれば誰もが知りたいこと。伏知にあたり、正しい話でもあり、ささる言葉だと思います。

「顧客志向の意味がようやくわかった気がします」
松永氏コメント:日頃の小さな不満を解決する発見、伏知をよく捉えています。「ようやく」という言葉もいい。

「うちの商品の良さがお客さんに伝わらない理由がわかったわ」
松永氏コメント:皆さんが日頃から意識しているけれど、いまさら考えなくなっているのでは。改めて言われると、何かすごい話かと興味をひく。高度なささる言葉です。

講演中、来場者の皆様は松永氏の話に頷き、メモを取るなど、熱心に聞き入っていたのが印象的でした。「正しい×おもしろい」「相手が伝えられたいことを伝える」。ささる言葉のルールは、日々のコミュニケーションですぐに役立てられそうです。

▶ワークショップ後の懇親会も盛況に
ワークショップが終わると、お食事をご用意した懇親会を実施。ご参加者様同士や当社メンバーと名刺交換をされたり、会話に花を咲かせたりと、普段顔を合わせることのない他社の販促・マーケティングご担当者様同士の貴重な交流の場となりました。

懇親会の途中で、ワークショップの受賞者の方にサプライズでプレゼントを贈呈。日々お世話になっている、当社クライアント様の商品の詰め合わせをプレゼントさせていただきました。

こうして盛況のまま幕を閉じた、第1回目のゴウリカ マーケティング フォーラム。「次回もぜひ参加したい」と大変ありがたいお言葉もたくさんいただきました。今後も皆様が継続的に学び、交流できる場を作っていきたいと考えています。

【お問い合わせ先】
ゴウリカマーケティング株式会社
担当者:社長室 河野
TEL:03-6427-1750(代表)
E-mail:publicrelations@gourica.co.jp

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