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2021.09.02
【ウェビナー開催レポート】ヤクルト本社様ご登壇!Go Insight活用による「売れる売場」の仮説検証~小売様とヤクルト本社様のwin-win達成のシナリオ~
2021年3月2日に開催した本ウェビナーでは、弊社のショッパー行動解析サービス「Go Insight」のご活用企業様であるヤクルト本社様にご登壇いただき、データを活用してメーカー様視点で売場改善をご提案した事例をご紹介いただきました。自社製品だけでなくカテゴリー全体の視認性や売上の向上にも寄与し、小売様ともwin-winの関係を築くことに成功したベストプラクティスになります。店舗のICT活用の専門家である郡司様にもご参加頂き、メーカー様、小売様、サービスプロバイダーの3者の視点でお話させて頂きました。リアル店舗のマーケティングに課題感を持つ方はぜひご覧ください。
※本レポートは要約版となりますので、事例の詳細等をご覧になりたい方は、ぜひアーカイブ版のご視聴&資料のダウンロードをお願い致します。
<この記事を読んでいただきたい方>
・店頭マーケティングで成果を出したい セールス・マーケターの方
・ショッパー行動からヒントを得たい 商品企画・開発担当の方
・店頭のデジタル施策を推進する 小売業のDX担当の方
第1部 Go Insightで棚前のショッパー行動を徹底解析!
コニカミノルタ株式会社
マーケティングデータコンサルタント
清水 隆史
ショッパー行動解析サービス「Go Insight」の企画・開発に携わり、飲料品・食料品・日用品・嗜好品など20社以上のメーカー・ブランドオーナー様や小売・流通企業様の課題解決を支援。マーケティングデータ分析を行いながら企業のデジタルトランスフォームを支援すると共にエバンジェリストとしても活動し、セミナー・研修等の登壇多数。スクラムマスターとしてアジャイルマーケティングのアドバイザリーにも従事。サイエンスの観点からマーケティングを進化させる。専攻は宇宙物理学。
■ますます深まる商品の「売れ方」の謎
お店作りのコツや理論などは昔からありますが、昨今は消費者ニーズの多様化・社会情勢の変化・商品のコモディティ化といったこともあり、最適な棚割り・販促物の効果・計画購買/非計画購買の割合・最適な商品パッケージの在り方などで迷われている方が非常に多いのではないかと感じています。
■店頭マーケティングDXの取組全体を支援するGo Insight
ECとリアル店舗の購買プロセスを比較してみましょう。ECは購買行動をトラッキングしてデータ化することが可能ですが、リアル店舗は、「売場に来て、商品を比較検討して購入する」という一連の流れのデータがほとんど取れていない、というのが現状だと思っています。
弊社のショッパー行動解析サービスGo Insightでは、売場に来た人を検知し、姿勢の情報を元に画像解析を行うことでお客様の属性や売場での滞在、商品接触等の情報を取得し、リアル店舗での購買プロセスを可視化することが可能です。実際にスーパーマーケットやドラッグストア等の店舗で多くのナショナルメーカー様にご活用を頂いております。
詳しくはこちらのプロモーション動画をご覧ください。
弊社ではGo Insightで取得したデータを元に作成したサマリをメーカー様や小売様にご提示するだけではなく、調査企画の立案からフィードバックまで一気通貫で行い、経営層へのインプットや提案業務もご支援しております。実際のクライアント様から頂きましたコメントの一部を下記スライドにてご紹介させて頂きます。
さて、それでは第二部のヤクルト本社様にバトンタッチし、実際にGo Insightをご活用頂いての生の声をご紹介させて頂きたいと思います。
第2部 Go Insight活用による「売れる売場」の仮説検証
株式会社ヤクルト本社
直販営業部 チェーンストア課 主事
吉川 純也
入社以来、宅配営業や商品企画を経て、現在はコンビニエンスストアやGMS等、チェーンストアへの商品提案及び、売場や販促の企画提案を担う。また、店頭のリサーチ・分析業務を通して、「データに基づいた営業提案」を実践している。おすすめのヤクルト商品は「ヤクルトW」。
株式会社ヤクルト本社
直販営業部 チェーンストア課
尾崎 駿
入社以来、ヤクルトレディの営業を統括する宅配営業を経て、現在は吉川氏と同様チェーンへの商品提案及び販促提案を担う。また店頭のリサーチ・分析業務やヤクルトの営業に関わるシステム関連業務にあたっている。おすすめのヤクルト商品は「ミルミル」。
■今までの分析
今までも小売様に対して定番売場のご提案は行っていましたが、アイトラッキング分析が中心でした。メガネをお客様にかけて頂いてどこの視線・視点の売場をよく見ているかというのを、サーモグラフィで表現しているようなイメージです。そのデータをもとに「やはり最下段はよく見られているから重点商品はここにおきましょう」、「陳列の仕方もやはり赤色中心がいいね」といったようなことを行っていました。また、POS分析を使った最も効率的な売場の提案も行っておりました。
■Go Insightに期待していたこと/新たに分かった事
このような分析を通して実際に実績も上がりましたが、分からなかったこともあります。例えば、「ゴールデンゾーンは最下段と昔から言われているが、実際最下段と下から2段目ってどのくらい接触回数の差があるのか」といった疑問です。そういった疑問を解決出来ることに興味を持ち、Go Insightで調査を実施致しました。
Go Insightで調査した項目の代表例は以下の通りです。
・立寄人数
・売場での滞在時間
・手に取った商品数/商品名
・比較検討した商品数/商品名
■調査の詳細
今回の調査では、3つの目的がありました。
1. 乳酸菌飲料カテゴリー全体の売り上げ最大化に向けた定量的な検証
2. 乳酸菌飲料カテゴリーと他カテゴリーの比較
3. 資材設置による効果検証
今までの検証結果から、ヤクルト商品はまとめて置いた方が視認性がアップし売上もあがるという仮説を元に売場を変更してみたところ、変更の前後でヤクルトの商品は114%・カテゴリー全体は116%と、ヤクルト商品だけでなく、カテゴリー全体の売り上げ向上にも貢献できたことは非常に良かったと感じております。
さらに、売り上げだけでなく、接触回数・購入回数ともに増加したという事実が定量的に把握できたので非常に良いデータだと感じております。特に今まではメインのヤクルト製品から離れた場所に配荷されがちであった「ヤクルトファイブ」の配置を変更したところ、売場の変更前後で168%と商品別では最も大きく購買を伸張させることが出来、まずは「ヤクルト製品であることを知ってもらうと購買が伸びるのではないか」という仮説を検証することが出来ました。
また、シェルフサイネージ等の資材を利用した効果検証も行いました。前提として、売場に資材設置を行うにあたり「最近のお客様は乳酸菌飲料を選ぶにあたり、乳酸菌が入っていればどの商品でも良いわけではなく、確かな効果や効能を求めて購入されるお客様が非常に多くなっている」という調査結果があり、資材等を通してお客様へきちんと商品価値を伝えることでニーズにあった購入を促進できるのではないかという仮説がありました。
サイネージを設置後はヤクルト商品購入者あたりの平均滞在時間が+約4秒伸張致しました。シェルフサイネージの設置により、視認性が向上し、お客様の関心・興味を引く事が出来たことによる伸張と推察しております。また商品の購入率が大きく変動したものもあり、例えばジョア類の「1日に必要な栄養素を補える」、プレティオの「血圧が高めの方に」といった訴求により、機能的な商品であると認識されたことによる購入率の大幅伸張であると認識しております。
特に、プレティオは資材設置前後で「血圧」を気にされる方が多いであろう50代以上の男性の構成比が増加し、購入者が増えたという面白いデータも確認出来ました。まさにターゲットとしている購買層が増えたことは良い情報だと思っています。
■Go Insightのデータだからこそ分かった事
POSの売り上げ結果からだけではなく、購入者の属性まで掘り下げた上で、商品棚の段毎・商品毎の接触回数や購入回数が定量的にデータとして分かったことはGo Insightのデータだからこそだと思っています。今後メーカーとしてはいかにお客様のニーズにマッチした売場を作れるかという所を念頭におき、小売様に情報提供をしていきたいと思っています。また、今まで我々が仮説として持っていたことをGo Insightを通してより定量的にはっきりした形で理解することが出来ました。これを元に小売様に対しても根拠のある提案が出来るようになりました。
シェルフサイネージの効果測定も定量的に出来るので、資材活用の幅も広がったと感じております。小売様のキャンペーンも巻き込んだシェルフサイネージの活用など、カテゴリー全体の売り上げ拡大に益々寄与出来ればと思っております。
第3部 トークセッション
第3部では、初めに店舗のICT活用にお詳しい郡司様に小売・流通産業の課題についてお話頂いた後、視聴者の皆さまからの質問にお答えする形でQAのセッションを設けました。
店舗のICT活用研究所 代表
郡司 昇
1999年 株式会社ランド設立 代表取締役社長。2007~2018年 株式会社ココカラファインでドラッグストア・保険調剤薬局の販社統合業務→EC事業会社 代表取締役社長として事業黒字化。
同時にグループ統合マーケティング部門を立ち上げて責任者兼任。 2018年~現職 My job is 全体最適、デジタルシフトに関して悩みがある企業のお手伝いをして、その先にある顧客体験を向上すること。小売のICT活用&IT企業の小売理解をお手伝いしています。
■小売・流通産業の課題の整理
昨今の流通の課題としては、やはり売場のシェアをいかに取るか・同業他社の中でスーパーマーケットのシェアをいかに拡大していくかというところです。流通各社は、商品やサービスの独自性を打ち出したりブランド力を高めるといったことが重要になっており、具体的にはオウンドメディアやSNSの活用による認知の拡大が今の流れとなっています。また、日本の高齢化なども課題となっています。
小売業の、共通かつ永遠の課題は「売り上げ」と「人手不足」です。しかし、人手不足を掘り下げてみると、単純に人出が足りないわけではなく、「いかに人を減らして人件費を抑制するか」といったところに課題があります。
■店舗の課題
①DXの遅れ
そもそもデータがないという根本の問題があります。ID-POSは購入結果しか見ることができず、データの分析力が社内にないのでデータの活用が出来ない等の課題があります。
②コロナ禍への対応
また、コロナ禍により、販促や顧客行動が変化しています。密になってはいけないので日替わりの特売などが難しくなり、またEC比率の増加や感染症対策のビニールシートのパーテーションがある中、マスク同士での会話となるのでコミュニケーションが難しくなっている等の問題があります。特に化粧品や食品においては従来のような接客(顧客の肌に直接触れたり、試飲・試食等を実施したり)も困難となっています。
これらに対してどう手を打つかということが、これから重要になってきます。感覚としては、3-4割程度はGo Insight等を利用しお客様の行動を捉えることで解決策が見えてくるのではないかと思っています。
■Q&A
Q. ヤクルト様の取組を客観的に見てどう思うか?(コニカミノルタ/清水)
郡司様
小売が中々投資しない状況下において、協業しようといっても中々難しいのが現状です。そういう中で、ヤクルト様自らが課題と仮説を持って検証し、また売場全体の売上を上げたというのが素晴らしいと思いました。売場全体の売上が上がり、お客様の満足度も向上して、初めて小売とメーカーがwin-winになれると思います。
Q. ヤクルト製品のカスタマージャーニーは?
吉川様
ゆりかごから墓場までといいますか、健康を意識するポイントでヤクルトがいかに接点をつくれるかが大切だと感じています。たとえば、皆さんも子供のころ冷蔵庫の中にヤクルトがあり、お母さんに飲ませてもらった記憶はありますか。そのような経験の有無で、成長して大人になった時にヤクルトに対する意識が変わってくるといった調査結果も出ていますので、実はお母さんに対する意識付けというのが非常に大切だと思っています。小中学校や介護施設での給食や健康教室等も通して、生涯にわたり乳酸菌を摂る重要性をお伝えしています。
Q. ヤクルト製品の差別化は?
尾崎様
各メーカーさん共に素晴らしい商品が存在していると思いますが、このコロナ禍においてお客様は時短で定番商品を購入するといった傾向が出ていますので、そのような状況下で「腸内環境改善」に強みを持った自社製品は強みがあるのではないかと感じております。お客様のニーズを捉えることができるようにポジショニングを強化しながら、引き続き邁進していきたいと思っております。
Q. 流通様に喜ばれるデータ分析の観点は?(ヤクルト/吉川様からの質問)
郡司様
小売から見ると、販促物は管理や取り外しが面倒で、できれば付けたくないというのが本音です。なので、販促物を付けることでどれだけカテゴリーの認知や全体の売り上げ向上等、付ける事の意味を示すデータがあれば、受け入れてくださる小売が増えるのではないかと思います。
Q. ポストコロナ時代、新たな変化やメーカーとしての注目点は?(ヤクルト/尾崎様からの質問)
郡司様
売場での滞在時間が徐々に長くなると予想されるので、選ぶ楽しさや店頭で参考にする情報の量などが重要になってくるのではないかと感じております。
Q. 今後の販促どう検討しているか?(郡司様)
尾崎様
試食や試飲などができないので、平台の活用方法を今後考えていかなければならないと思っております。陳列方法や動画コンテンツの利用などの工夫をすることによって、定番にプラスして平台も提案できるようにしたいと考えております。
Q. まったく予想していなかったGo Insightの活用方法は?
吉川様
従業員の方の補充が追い付かず、欠品でかなりのチャンスロスしてしまっていることが分かりました。その情報は小売様にも共有させて頂き、また自社のフィールドスタッフと情報を共有して欠品になりやすい時間に訪問するなど、対策を打とうと思っております。
Q. Go Insightの活用は指定された店舗での調査になるのか?
清水
店舗様との調整によってカメラ設置が出来ればどの店舗でも調査可能です。
Q. 最後に一言お願いします!
吉川様
販促物をただ付けるだけではなくどういう効果があるのか、でしたり、買い物をするにあたり「選ぶ楽しさ」を忘れずに、引き続きデータを活用した提案を行っていきたいです。
尾崎様
Go Insightでの調査から、商品を認知され価値を理解されると購入を促進できる事が分かりました。認知の低い高機能商品も通常のヤクルトの近くに置くことで接触購入が上がるということが分かり、非常に参考となりました。
郡司様
検証の大事さですね。今日もシェルフサイネージの話がありましたが、実際シェルフサイネージをつければ必ずしも売り上げが上がるとは限りません。そのコンテンツが商品をわかりやすく説明してくれて初めて、お客さんがその売場に興味を持ってくれたのかと思っております。置くことが目的でなく、コンテンツの中身を工夫して検証を行うことが大切だと感じました。