【イベントレポート】中川政七氏が語る
「人を生かせる合理化」とは
〜第2回 ゴウリカ経営者カンファレンス開催〜

「人に寄りそう合理化」で企業変革をサポートするゴウリカマーケティング株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:岡本賢祐)は、2024年10月25日(金)にザ・リッツ・カールトン東京にて「第2回 ゴウリカ経営者カンファレンス」を開催いたしました。

現代において、企業がさらなる成長や成果を達成するためには、絶えず組織や行動の「変革」を行うことが不可欠です。この流れの中で、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「組織改革」「経営変革」といった言葉が注目されているように、「合理化」への取り組みが成功への大きな鍵となっています。

第2回目となる今回のカンファレンスでは、「人を生かせる合理化」というテーマのもと、中川政七商店の代表取締役会長・中川政七氏をお迎えしての講演と、編集家の松永光弘氏と弊社の岡本賢祐を交えた鼎談を通じて議論を深めました。

「ゴウリカ経営者カンファレンスについて」

今の時代、「DX、AI、データサイエンス」といった「合理化」の取り組みが現場に浸透するなか、「ESG、パーパス経営、人的資本経営」という言葉が注目されるように、人間性に寄りそうマネジメントが注目されるようになってきています。私たちは、現代経営に欠かせない「合理化」の取り組みを、かたちだけのものに終わるのではなく、真に組織や行動を変えるものにするには、「人を生かせるものになっているかどうか」にかかっていると考えています。本カンファレンスでは、そんな「人を生かせる合理化」をテーマに、各界の識者やトップランナーたちを講師として招いて、日本を代表する企業のトップの皆様とともに「真の合理化のあり方」の考える場をつくることで、今後の日本企業の更なる発展に貢献していきたく考えております。

【ゴウリカ経営者カンファレンスの開催概要はこちら】
https://gourica.co.jp/lp/conference/

【第1回ゴウリカ経営者カンファレンスイベントレポート(講師:楠木建氏)】
https://gourica.co.jp/lp/conference/report-01/

登壇者

【講演・鼎談】

中川 政七(なかがわ まさしち)氏

株式会社 中川政七商店 代表取締役会長

1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通株式会社入社。2002年に株式会社中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長に就任、2018年より会長を務める。業界初の工芸をベースにしたSPA業態を確立し、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、業界特化型の経営コンサルティング事業や教育事業を開始。現在は学生経営×地方創生プロジェクト「アナザー・ジャパン」や、志あるブランドを世の中に届ける共同体「PARaDE」を発足。企業やブランドのビジョン・思想を「ライフスタンス®」と提唱し、新しい経済の形を生み出している。
2015年には、独自性のある戦略により高い収益性を維持している企業を表彰する「ポーター賞」を受賞。「カンブリア宮殿」「SWITCH」などテレビ出演のほか、経営者・デザイナー向けのセミナーや講演歴も多数。著書に『日本の工芸を元気にする!』(東洋経済新報社)、『ビジョンとともに働くということ』(祥伝社)、『経営とデザインの幸せな関係』、『中川政七商店が18人の学生と挑んだ「志」ある商売のはじめかた』(日経BP社)他

【鼎談】

松永 光弘(まつなが みつひろ)氏

編集家

1971年、大阪生まれ。「編集を世の中に生かす」をテーマに、メディアにおける活動だけでなく、企業のブランディングや発信、サービス開発、教育事業、地域創生など、さまざまなシーンで「人、モノ、コトの編集」に取り組んでいる。20年あまりにわたって日本を代表するクリエイターたちの書籍を数多く世に送り出してきた、クリエイティブ系書籍編集の第一人者。国立大学スタートアップをはじめとした複数の企業のアドバイザーもつとめており、顧問編集者のパイオニアとしても知られている。自著に『「アタマのやわらかさ」の原理。クリエイティブな人たちは実は編集している』、『ささるアイディア。なぜ彼らは「新しい答え」を思いつけるのか』、『伝え方──伝えたいことを、伝えてはいけない。』がある。

岡本 賢祐(おかもと けんすけ)

ゴウリカマーケティング株式会社 代表取締役

名古屋大学経済学部を卒業後、2001年にコニカミノルタに入社。一貫して新規サービスや事業の立ち上げに従事。医療ITからマーケティングまで幅広く経験し、海外販社でのマネジメントやM&Aにも従事。多くの失敗と少ない成功を経験し、2015年よりコニカミノルタマーケティンクサービスジャパンを立ち上げ社長に就任。大きく成長したのち、2022年にコニカミノルタを退社し独立。2023年にコニカミノルタマーケティングサービスジャパンと合併し、ゴウリカマーケティングを設立し社長に就任。

「人を生かせる合理化とは」

カンファレンスは、前回と同じく、主催者であるゴウリカマーケティングの代表取締役 岡本賢祐の挨拶からスタート。第1回で経営学者・楠木健氏が語った、意思決定における“好き嫌い”、他社との差別化という意味での“ディファレント”を引き合いに出し、経営における人を生かせる合理化の大切さを改めて確認しました。

それを受けた第一部では、中川政七氏が登壇。300年以上続いている中川政七商店の歩みをひもときつつ、伝統工芸業界の現状や同社のビジョンについて紹介したうえで、後半では、副題として掲げた「ビジョンがあるから迷わない」というテーマに言及。経営におけるビジョンの重要性、社内にビジョンを浸透させる同社の取り組みについて、独自の経営理論を披露しつつ解説しました。中川氏のさり気なくユーモアを交えつつも熱のこもった語り口に、会場の参加者たちはみな大きくうなずきながら聞き入っていました。

第2回 ゴウリカ経営者カンファレンス

第一部:中川政七氏による講演「人を生かせる合理化とは――― ビジョンがあるから迷わない」

「日本の工芸を元気にする!」卸から直営店へ。

中川氏のお話は、自己紹介の意味も込めて、享保元年(1716年)に問屋業としてスタートした家業・中川政七商店の歩みを振り返るところから始まりました。創業当時、同社が扱う高級麻織物の奈良晒(さらし)は武士の裃(かみしも)に使われ、徳川幕府の御用品にも指定されていましたが、時代の変遷で晒が廃れるなか、先代が1970年代に茶道具業界に本格参入し、総合問屋に。80年代に生活雑貨の取り扱いを始めたところ、センスの良さが評判となって注目され、2001年には東京進出を果たします。

いっぽうの中川氏自身は、大学卒業後は大手IT企業に就職。2年のサラリーマン生活を経て、2002年に家業に参加し、赤字店舗の建て直しを始め、周囲の反対を押し切って卸から直営店にシフトするなど様々な取り組みを敢行。2006年に10店舗目となる表参道ヒルズに出店した頃には、社内のシステムも整備し、黒字化を果たしました。そのうえで2008年には、十三代として代表取締役社長に就任。ただ、「会社が順調になると社長のやることはなくなり、何のために働くのか意義を見出せなくなった」という実感もあり、会社の存在意義を見出すために作り上げたのが「日本の工芸を元気にする!」というビジョンでした。長い歴史を持ちながらも、中川政七商店には、それまで社是も家訓もなかったと言います。

業界特化型コンサルティングで「産地の一番星」を作る

伝統工芸を手がける会社の多くは、いわゆる斜陽の状態。そこで、日本の工芸を盛り上げるために中川氏が2009年に取り組み始めたのが、業界特化型のコンサルティングでした。行政も巻き込んだ伝統工芸の事業支援は多くあれど、成功した事例が少ない理由を中川氏は「コンサルティングを受ける側に経営をきちんとわかっている経営者がいないから」と看破。決算書の見方といった経営のイロハを教えるところから、商品開発、販路開拓、採用といった実務に至るまでを支援することで、赤字だった企業の建て直しに取り組みます。一時は倒産寸前だった波佐見焼の企業が、いまでは年商3億円を売り上げるまでになっているのをはじめ、氏がこれまでにコンサルを手がけた60社超の企業はいずれも黒字に。その手腕が評判を呼び、行政と連携して全国各地で経営塾の開催を始め、人材育成事業にも乗り出します。

さらに、2018年3月に社長を退き、会長となった中川氏はコンサルティング業務に注力。「産地の衰退は予想以上に早く、コロナが追い打ちをかけ、サプライチェーンが崩壊しかけている。産地全体で取り組まなければならない」と危機感を強め、支援するだけでなく、製造背景を考慮した垂直統合の必要性、ファクトリーツーリズムのような産業観光への取り組みが不可欠、と語りました。

ビジョンはなぜ機能しないのか

続いて中川氏は、近年ビジネス界に見られる「ミッション・ビジョン・パーパス」ブームに対し、「実際にはほぼ多くの企業で機能していない」と問題提起。その理由を「ビジョンと日々の仕事がつながっていないから」「ビジョンと事業の論理的整合性を描けていない、あるいは描き方が間違っている企業が多い」と指摘しました。そして、「ビジョンと日々の仕事をつなぐには、ビジョンと事業の論理的整合性を示した“カンパニーストラクチャー”が必要として、同社の具体的な取り組みを例に考え方を解説しました。

原則はいまある事業を洗い出したうえで、ビジョンを分解して、それを紐づけ、ストーリーを考えていく。たとえば中川政七商店でいえば、現在、小売業、教育事業、コンサル事業、地域活性事業の4事業を手がけていて「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げている。そこから、小売業として大切にしたいコンセプトは「日本の工芸が教えてくれる暮らしかた、生きかた」、お客様への提供価値としては「日本の暮らしの心地好さ」。その先に「100年後、工芸大国日本へ」というゴールを掲げる。そして、それを一つひとつ社員に説明する。その際、課題を見つけ、具体的に目標値を設定することが大切だと説きました。

「どこまで背負えるか」を決める

加えて中川氏は、ビジョンを分解する際に考えるべきこととして、言葉の定義の大切さ、中でも「やらないことを明確にする」ことの重要性を指摘しました。中川氏によれば、同社の場合、ビジョン「日本の工芸を元気にする!」の“工芸”は工房(=産業)を意味するものと定義しているとのこと、同じ「工芸」に取り組んでいても工芸作家(=作家性)はそこに含まない。また、“元気にする”の定義は「補助金なしで成立する」「ものづくりの誇りを取り戻す→お客さんの顔が見える商売」としていて、いずれも具体的に設定していると言います。これは同時にやらないことを明確にしていて、「どこまで背負えるか、覚悟を決めることが大切」と主張しました。

目の前の仕事がビジョンとつながっているか

さらに、中川氏は、カンパニーストラクチャーを考えるにあたって、ビジョンを事業に落とし込んでいく際には、「一度、経済的整合性を排除して考えたほうがいい」と提言。そうすることで「経済的整合性にしばられると、できない理由を考えがちになる」「でも、それを一度排除すると解決すべき課題が見えやすくなる」と指摘。その一方で「ビジョンを起点にし、市場規模を分析したうえでターゲットの数値も算出し、定期的にどこまで達成できたか確認することも大切」と語りました。

同社には、創業地である奈良県の出身者が少なく、全国から優秀な人材が集まっているとのこと。「事業規模の割に、当社が知られるようになったのは、ビジョンとカンパニーストラクチャーが明確で、愚直に取り組んできたことが世の中に届いているから」「目の前の仕事がビジョンにつながっていることを社員一人ひとりが実感できているから」。そして、「ビジョンは抽象的なままに置かれがちだが、カンパニーストラクチャーと連結させれば具体的に力を発揮できるようになる」「ビジョンがあれば迷わず、ビジョンが浸透すれば合理化につながる」と結論づけました。

第二部:中川氏・松永氏・岡本による鼎談

第二部では、第一部の講演を踏まえて中川氏と松永氏、岡本による鼎談を実施。テーマをさらに掘り下げた話が展開されました。

岡本

市場の流行りや顧客の要望を事業にしよう、そこからビジョンを導こうという流れの話はよく聞きますが、その逆の、ビジョンから新規事業に落としていく考え方は初めて聞いた気がします。

中川

「ビジョン・ミッション・パーパス」といったり、ビジョンという言い方は様々ですが……、まず、会社の上に掲げるものはトップが作るべきで、経営企画室や外部に任せるということはありえないとぼくは思っています。市場にアプローチして新しい需要をみつける、楠木先生の言う“オポチュニティ企業”という戦い方も確かにありますが、その言い方でいうと、うちの会社はひたすら自分たちがどうあるか積み上げていく“クオリティ企業”なので、ビジョンを起点にすべてを考えています。特に大きな企業なんかだと、存続させることに重きを置く人がたくさんいます。でも、そもそも企業は存続するためにあるわけではなく、ビジョンを達成するためにある。ビジョンを達成すれば解散してもいいくらいの覚悟が必要だと思うんです。そういう意味では、いまブームとしてもてはやされている「ビジョン・ミッション・パーパス」は、はっきり言えば、すべての企業に必要なものではないですよね。

松永

どうして「ビジョン・ミッション・パーパス」ブームが起こったんですかね?

中川

メディアが、キーワードを作ってあおり立てているだけですよ。30年くらい前に『ビジョナリーカンパニー』という本がありましたが、本質はそこから何も変わっていないと思います。ふつうの経営者なら、当たり前にわかっていることです。でも、呼び方を変えて「パーパス」と言うと、何か新しく感じる…それだけの話ではないかと。

松永

なるほど。メディアの関係者としては耳が痛い話ですね……(笑)。先ほど、ビジョンの定義が大切との話でしたが、定義のポイントのようなもの、導き出す際に気をつけることなどはあるのでしょうか?

中川

うちの会社の場合なら、先ほどもお話ししたように工芸をテーマにしているわけですが、その工芸なら工芸で「僕らのビジョンではそれ(工芸)をこの範囲に絞る!」と決めることですね。

松永

いわゆる“決め”の問題、ということですか?

中川

そうですね。そういう意味では、定義を決めるというよりは、意思を決めるといったほうがいいかもしれません。ここに取り組むんだと、意思が決まらないと進まない。先ほどもお話ししたように、たとえばうちの会社は、工房は対象にするけれど、作家は対象にしないと決めています。これは別に好き嫌いの問題ではなくて、工房は売れると原価が下がって安く出せるんです。だから、工房はビジネスになるけれど、作家は希少性を求められるもので、同じ土俵にはないんです。

岡本

実際に中川さんは、これまでもたくさんの工房を支援してこられていますが、コンサルティングで100%利益が出るようになるものですか?

中川

ほぼできますね。それは僕の腕がすごいということではなく、そのくらい中小企業には経営が根づいていないということなんです。皆さんには想像がつかないかもしれませんが、日本の中小企業は、工芸に限らず、「社長はいても経営者がいない企業」がほとんどです。社長の名刺を持っている人の多くが、原価もはっきりわかっていないし、予算案ももっていなければ、会計士が出してくる税金を納めるだけの決算書すらろくに見ていない。先ほど経営塾をやっているとお話ししましたが、そこで受講生の会社経営者に「変動費なし、固定費だけ」という条件で損益分岐点の計算をやってもらうんです。でも、全国各地、どこに行っても7割の人が、その計算ができないんですよ。

岡本

本当に経営について、ほとんどご存じないんですね。

中川

そうなんです。だから、そういう人たちに、最低限の売り上げや原価、粗利益などについて経営の初歩を教えるだけでも黒字化が達成できます。これは経営でいえば九九みたいなものですが、九九でつまずく人はまずいません。いってみれば、九九の手前でつまずいているんですよね。日本のほとんどの中小企業は、そもそも生産性が低くて利益が出ていないんです。そんな状況でDXだ、AIだと言っても、それは九九のできない人に微分積分を理解しろといっているようなものです。

岡本

たしかに経営を学ばなくても、社長にはなれますから……。

中川

経営の免許なんてありませんからね。いわば無免許で社長になれるし、社長の息子と言えば、勉強していなくても周囲は誰も怒れないからタチが悪い。いままでの行政の取り組みがうまくいかなかったのには、そういう理由もあると思うんです。でも、僕らは経営の基本を初歩の初歩から教えています。だから100%経営が改善される。

松永

教育の問題ということですか?

中川

間違いなくそうです。日本に中小企業経営者向けの教育がないというのは大きいですね。何もMBAを取りに行く必要はないんですよ。自動車の運転免許でいえば、教習所の2週間短期集中合宿レベルで十分です(笑)。でも、それすらないから、無免許の経営者が企業を運転して、危ない経営状況になっている。

岡本

大企業でも新しいビジネスで赤字になることがありますが、それも“九九”ができるようになればチャンスが増えるでしょうか?

中川

可能性はあると思います。どの領域でも、原則的な理論があるはずですが、けっこうそれをうっかりすっ飛ばしていることがありますから。ただ、中小企業の場合は、ずっとそうなんですよね。どうしてかというと、高度経済成長期は、中小企業は大企業の下請けが基本でしたから、言われた通りものを作っていればよかったんです。それで儲かった時代が長く続いた。そのときからずっと経営がないんです。昔あって失われたんじゃなくて、ずっとない。だから、いま、どうしてないんだと言われても、彼らにしてみれば昔からないんだ、という話なのだと思います。

岡本

その時代が終わって、いまは経営者の資質が問われるようになってきてしまったということですね。

中川

そうですね。産地問屋も機能していないし、自分たちで商売を考えないといけないけど、考えたことがないし、勉強もしてこなかった、というのが実際のところでしょうね。

松永

なるほど……。中川さんがそのことを痛感したのは、やっぱりコンサルをされてからですか?

中川

そうですね。現場を見て、そこが問題なんだと感じて、そこからはひたすら“塾(経営の学びの指導)”をやってきました。そうすると本当に結構な確率で、みなさん、よくなるんですよ。

岡本

その経営の基本的な知識というのは、経営者だけではなく、従業員も学んだほうがいいのでしょうか?

中川

そこは諸説あるでしょうが、僕はかならずしも全員が経営の知識をもっている必要はないだろうと思います。それよりは、やっぱりビジョンを全員で共有して、そのなかで得意、不得意をもとに役割分担することのほうが大切ですよね。採用に関しても同じスタンスです。おかげさまで今は応募者のビジョンに対するコミットの度合いは、あえて問わなくても高いレベルになっていることが多いので、あまり課題として意識してはいないのですが、一昔前はビジョンに対するコミットがどの程度かは、必ず採用の要件としてみていました。

松永

かなりプライオリティが高いんですね。

中川

その一点だけは譲れないですね。

松永

そのビジョンにからむところですが、講演でおっしゃっていたカンパニーストラクチャーは、社内ではどれくらい従業員のみなさんに理解されているものですか?

中川

みんな理解しているはずですよ。毎年、中期経営計画を発表するときに、ひたすら説明し続けていますから。例えば、新しいことを何か始めるとして、ある部門にいる社員の目から見ればビジョンとの関係性がわかりづらいことってあるわけですよ。だから発表時の冒頭などで、なぜこれを今やる必要があるのか、ビジョンとどうつながっているのかをわりと厚めに、丁寧に説明しています。

岡本

そこは地道にやるしかないところですよね。トップが繰り返し説明するって、やっぱり大切なことですね。
 

この後、この日の参加者からカンパニーストラクチャーの浸透のさせ方や社員評価への考え、中川政七商店のターゲット層(顧客)に関する質問などが寄せられました。
最初の質問には、中川氏はカンパニーストラクチャーを社内に浸透させるまでの経験を紹介。社員評価における人事考課については、自社の例をあげ、人事部長がいないこと、それは人事部長の評価に個人的な思惑がはいってしまうことが理由であると説明し、「社長は自社にとっていいことをやってくれている社員が好きで、そこにぶれはないから、基本的に(人事は)社長が見るべきだと思っている」と述べました。また、ターゲット層(顧客)については「想定しているターゲットはとくにない。まずはN=1。自分たちが本当によいと思うものを作っているので、そこに共感を持ってもらえればいいと思っている」との持論を展開したところで第二部は終了。
 

続く懇親会でも、中川氏を囲みながら、熱いディスカッションが交わされました。

今後もゴウリカマーケティングでは、各分野のエキスパートやリーダーの皆様を講師にお迎えし、多様な方々と意見を交わしながら、さらに多面的な議論を展開してまいります。

※本文、講演内容を抜粋し、要約のうえ掲載しています。

弊社では、企業のご担当者様に向けて様々なテーマでセミナーやウェビナーを開催予定です。随時、コーポレートサイト等でお知らせいたしますので、ぜひ皆さまのご参加をお待ちしております。

https://gourica.co.jp/

戻る